板書のすすめ
みなさん、板書という言葉を聞いたことがありますか。
板書とは学校で先生が黒板にチョークなどを使って文章を書くことです。
子供たちは授業を受けながらその文章をノートに書きとったりまとめたりします。そのノートを使って自宅で復習をする、試験の時に見直すという事に使うことも多いと思います。
ところが、最近は高校生になるとスマホで写真をとって、それをLINEで回覧する、ということもあると聞きました。高校では現在スマホを持ってくることがみとめられている高校が増えているため、そのような事もでき、学校としても許している学校も多くあります。先生の方でも生徒が黒板を撮影していることを知っていて、前の時間にどこまで進んだかを確認するために生徒のスマホの写真をみせてもらう、なんてことをしている高校教師もいると聞きました。余談ですが、高校によってはBYODといって、自分のスマホを学習の中で利用してよい、という学校も出てきています。
小中学校の状況はどうかというと、2020年度から本格的に1人1台のタブレットが配布されたことにより、子供たち個人用のタブレットに、プリントのデータを配布することもできるようになりました。ということは、先生は黒板に書く内容をあらかじめ文書データにしておいて、それを子供たちに配る、ということも、先生が望めばできるのです。
そのようにすれば先生は板書をする手間が省けて楽です。子供たちもそれを書き写す手間がなくなります。双方にとって楽なのですが、今後はそのようになっていくのでしょうか。
板書の学習、4つの段階
そこで考える必要があるのは「ノートに書き写す」という行為に、どのような学習効果があるかという点です。板書はただ文字を書く練習のためだけにあるのでしょうか?
板書されたものを書き写す時、文字を覚えたての小学1年生の場合はどのように書き写すでしょうか。おそらく一文字見て書いて、一文字みては書いてというのを繰り返すことになるでしょう。しかし、それでは時間がかかります。低学年の場合、書き写す時間を設けてくれることが多いですが、みんなが写し終えるのと同じくらいの時間で書き終えなければなりません。この段階は「文字を一つずつ見て書く」という段階です。
ノートに書き写すために与えられる時間は学年が上がるとともに短くなります。そうなると一文字ずつ見て書いていては間に合わないので、単語ごとに覚えて書くようになります。さらに学年があがると、単語ごとではなく文章ごと覚えて書くようになってきます。この「単語ごとに覚えて書く」「文章ごとに覚えて書く」という行為が第二段階です。
大人になると自然に文章を読めて、書けていますが、そのようにできるのは数多くの単語を認識し、文章を認識する経験が必要です。
もちろん、学習活動の中に本を読む読書の学習、作文をする学習はあり、そこでそれらの力を養うことができます。しかし、毎授業のたびに毎時間板書を書き写す経験は、本を読むより文章量は少ないですし、作文するより文字数もすくないため、負荷の少ない日々の鍛錬になるのです。運動に例えるなら読書や作文は運動会で、板書は毎日のランニングのイメージです。
そうやってノートに書き写すことになれてくると、中学校・高校のどこかでそのまま書き写す必要がない事にも気づいてきます。つまり、先生が書く板書の内容を要約して、必要な部分だけ書き残すということができるようになります。これが第三段階です。
並行して、板書されていなくても先生の言葉の中で必要な部分はノートに書くことができるようになります。もちろん言葉を書いている最中にも先生の話は続くので、話の要点をおさえて手短に書く必要があります。話の要点を見つけるには話を頭の中に入れてどこが重要か考えて、その重要な点(もしくはあとから思い出せるキーワードとなるもの)をしぼり、それを書きます。そうなると話の要点をみつける力も必要になり、その鍛錬になります。これが第四段階です。
このように板書を書き写す行為は、ただ見たものを書く単純作業ではなく、段階をおって読む力、聞く力、考える力をつけていくための日々の学習なのです。
